鬱病生活記

 表紙
 目次
 はじめに
 第一章

 第二章

 第三章

 第四章

 第五章

 第六章

第三章 鬱病者としての日々

1.閉じこもり生活

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【昼夜逆転気味と激しい動悸】

今日は、7月17日(金)。久しぶりの診察の日だ。この様に、何の予定も無い日々を過ごしていると、元々出不精の私にとっては、外に行く事など殆んど無くなってしまう。
随分前に買ってあった冷凍食品が大分残っているので「いざとなったらこれを食べれば良い。」と考えていて、今週はまだ、スーパーに買い物にも行っていない。先日、両親が来てくれた時に買い物をして貰っていたせいもあり、歩いて直ぐのコンビニにアイスとタバコを2〜3回程買いに行った程度だ。しかも行ったのは深夜。午後5時ぐらいまで床にうずまっていた日もあり、このところ、かなり昼夜逆転気味になっている。
遅くても午後5時に床を出るのは、東京MXTVの『五時に夢中!』があるおかげだ。早い日でも、床を出るのは午前12時頃。床を出た後は、必ず一服し『デパス』を服薬する。
ちなみに、寝るのは大体、午前2時〜4時頃。午前0時〜1時頃に寝る前の薬を飲んでいる。飲んだ後は、大分気持ちが楽になり、この様なホームページを書いたりして、数時間を過ごしてしまい、寝るのが遅くなる。それで床を出るのも遅くなるのだが、いつも、午前7時〜8時頃には一旦目を覚ます。そして、テレビをつけながら床に居るのだった。

今日は予定があるので、午前12時には床を出て(と言っても何時もとあまり変わらない時間だが)、風呂に入り支度をした。午後1時くらいにマンションを出て、病院に向かう。今日はついでに、月に一度の行事としている『通帳の記入』を行う事にしていた。病院が終わってからにしようと考えていたが、タクシーに乗った時、「まあ、病院に早く行ったところで待たされるだけだから。」と思い直し、病院から歩いて行けるところにある某銀行へ行ってもらう事とした。
銀行で通帳の記帳を一通り終えると、近くに宝くじ売り場があったので、つい『サマージャンボ宝くじ』をバラと連番で一組ずつ買ってしまった。ニートのくせにこんな物にお金を使うのもなんだが、この前のパチンコと言い、やっぱり私は賭けごとが好きなんだと実感した。

それから歩いて病院に向かう。20分も歩けば、病院には着く程の距離だった。ぐうたらしているので、良い運動になる。今日は、昨日や一昨日の真夏日と違って、日差しが少ない曇り空で、運動するにはちょうど良い気候でもあった。

病院に着くと、いつも通り受付を済ませ外に出て、お気に入りの病院の敷地内の喫煙所へと向かう。そこに行くと、私が入院していたころお世話になった看護師が、患者の付き添いでやってきた。私は冗談交じりに、「まだ辞めないんですね。」とその看護師に言った。男性の看護師なのだが、彼は、そろそろ定年という歳にも関わらず、公営の日本でも随一と言われているらしい精神病院から、今年の4月にこの病院へ移って来た人であった。彼とは、入院中、屋上に洗濯物を干しに付き添ってもらった際に、私の入院までの経緯を語ったら、「ああ、もしそんな事があったら僕も同じような事をしたと思う。」と、どうやら本音らしき回答をくれた事があった。流石日本一と呼ばれる精神科の病院に長年務めていただけの事はあって、彼は、私をまともな人間と見抜いたらしかったのである。(まともな人間という表現は、あまり適当ではないか?他の病状が重く意思疎通が出来ない者達よりは“まとも”、といった感じが正確だろう。)そんな風に私を捉えていたらしい彼は、この病院の不出来な所を色々と私に愚痴ったりもしていた。そんな彼の愚痴の中で、「もうホントこの病院の不出来さには嫌気がするね。(自分の)子供たちも独立した事だし、半ば隠居のつもりでこっちに転院したんだけど、もう辞めちゃおうかな。」なんて言っていたので、私は、冗談で「まだ辞めないんですね。」と言葉をかけたのである。
しかし、その後の対応がちょっと面倒臭かった。看護師の彼が同伴している患者は、どうも躁病の人らしく、やたらとしゃべる。私が、「辞めないんですね。」と看護師に突っ込んだ会話に入って来て、「えっ、なに、何が辞めるの。」といった反応を返してきたので、私は、「ちょっと間が悪かったかな。」と後悔しつつ、看護師と目で合図して、「いやね、私のタバコが辞められないんですよ。」と言ってごまかした。付き添われていた患者も、そう頭の回転が良さそうな感じではなったので、まんまと私の言う事に納得したらしく、その後は他の話題に移り、立て続けにしゃべり続けた。私は、適当な所で相槌を打ったり、会話をしたりして、その患者と接していたが、「ああ、やっぱりこの病院に入院している人の面倒を見るのは大変だな。まともに付き合っていたら、こっちが持たなくなるだろう。」と実感して、看護師達の苦労を、少し気にかけた。
私は、タバコを一通り吸い終えたので、「じゃあ、お先に失礼。」と言って、その場を後にした。

病院の待合せ室に戻り、早速、最近診察に来た時の恒例行事として行っている血圧想定を始めた。ここには、誰でも自由に血圧が測れるように、その測定器が置かれていた。腕を通し、測定開始のボタンを押す。暫らくして、結果が紙でプリントされて出てくる。別に血圧に異常な値は出ていなかった。私が気にしていたのは、脈拍数についてであった。今回で、測定は4回目になるのだが、最初は本当に暇つぶしで行っていただけだったのだが、前回の測定で、妙に脈拍数が高いのが気になっていた。入院中にも定期的に血圧を測る時があり、その時は、概ね脈拍数は一分間に60回程度で、自分なりに「変に落ち着いているな。脈拍数がちょっと少ないんじゃないか。」等と自覚していたものであった。
通院して脈を測るようになった1番最初の記録(6月5日)では、98回。まあ、ちょっと高い気はするが、それ程でもない。2回目の記録(6月19日)は、106回。この時も別に気にはしていなかった。3回目の記録(7月3日)は、119回。この時、「あれ、脈拍数高くないか。」と気になり、もう一度測定してみても、115回。そして、胸に手をあててみると、確かにドキドキしている。自身では、そんなに緊張など覚えておらず、寧ろリラックスしていて心地良い感じなのだが、無意識にどこか緊張しているのだろうかと不思議に思ったのだった。そして、今回も計ってみると、117回。退院した後、スーパーの人ごみの中で大変緊張した事を覚えているが、やはり他人が大勢いるところでは、何かあるのだろうか。少し気になる。


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