鬱病生活記

 表紙
 目次
 はじめに
 第一章

 第二章

 第三章

 第四章

 第五章

 第六章

第二章 精神病院での入院暮らし

3.精神病院から脱走

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【静かにキレる】

流石にこんな環境に、疲労が蓄積していたのだろうか。
このところ「一人でゆっくりしたいものだ。」と考えるようになっていた。

さて、私は大分前の主治医との診察で、処方されている薬の内容を紙に出したものと、私が自筆で殴り書いて入院時に主治医渡してあったメモ(これを見て主治医は「罪業妄想があるのでは」と疑ったと言う。)のコピーを渡してもらえるように頼んであったのだが、未だにそれに関して何の応対も無い。

相変わらずいい加減だなと思いながら看護室に行き、その事を告げると、そこに居る者達にはチンプンカンプンだった様で、「特に医師からそのような指示は受けていませんが・・・。」と言われてしまった。

どこにどういうミスがあったのかは分からないが、とにかく私が少ない診察時間で要求してた事は、無視されているらしかった。

一人の看護師が「薬の内容やメモ書きなどのコピーであれば、夕方ぐらいには出せますが。」と言ってくれたが、その時の私の心境は、その様な対応で収まる物では無かった。
ハッキリ言ってしまえば、この病院に対して信頼感を持て無くなってしまったのだった。
少し文句らしき事も口走ったかもしれないが、「それでは、お願いします。」と取り合えず返答して、看護室を去った。

昼食も終わり、いよいよ外出時間がやってきた。
外出の際は、予めノートに外出先を書いておく習わしがあった。
そこに書いておけば、時間が来た時に、担当の者が皆を集め、何重にもかけられたドアを開け、一斉に皆を外に出す。

私は、外出着に着替えると、外出する扉の前へ行った。
いつもは、そこに外出待ちの患者が何人かいるのだが、もう既に外出させてしまったらしく、そこには誰もいない。
はて、ノートには確かに記入したのに、私を呼ぶことすらしなかったらしい。さっき、看護室で少し文句を言ったせいで、その仕返しに無視でもされたのであろうか。
ともかく時間にはなっていたので、看護室に行き、「外に出してください。」と言うと、一人の看護師が私を外に出してくれた。
私は、病院に対する信頼感の喪失から、外に出る際、その看護師に「ここの患者には人権は無いのですかね。」と吐いて、タクシーでマンションに向かった。

そう、私は、もうこの病院に戻る気にはなっていなかった。とても、もう一週間もあの中で、スタッフや患者も含め、皆と一緒に居られる気分では無かった。


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