鬱病生活記

 表紙
 目次
 はじめに
 第一章

 第二章

 第三章

 第四章

 第五章

 第六章

第三章 鬱病者としての日々

1.閉じこもり生活

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【彼宛ての内容証明を作成・デパス再増量】

先日、友人に誘われスタジオに行った際、そこにシンセサイザーがあり、それをいじって楽しんだりもしていた。それを思い出し、数日後、私は自宅にあるDTMソフト(パソコンで音楽を作るソフト)を引っぱり出し、MIDIキーボードなどのセッティングを行い、自宅でシンセサイザーを動かせる状態した。音源ソフト(色々な楽器の音が出るソフト)も購入した物があるので、その音の具合を一つ一つ確認してみた。ものすごい数の音源があるので、一通り聞くだけで、2〜3時間は費やしただろう。
この分野の進歩は、やはり目覚ましい。10年ちょっと前、私が3〜4万程度のキーボードで奏でていた音とは段違いの、本格的な音が出る。少し作曲欲も湧いてきたが、この日は、機材のセッティングと音源確認だけで相当の時間を費やしてしまったので、その時思いついた簡単なメロディーラインだけパソコンに記録して終わった。

それからしばらくは、この音楽作成システムに手をつけていない。
この頃は、専ら、このホームページを書く事に労力を割いているからだ。

友人とスタジオに行ってから数日後、「今のマンションに居るのは精神衛生上良くないから、なんとかした方が良い。」とアドバイスを貰った。
私は、ここに居る事についてそれほど苦痛に感じてはいないのだが、やはり潜在的に彼に対して持っている未練を断ち切るためにも、友人のアドバイスが正しい様に感じた。

でも、彼からは一向に音沙汰がない。このままでは、話し合いの場を持つことも無さそうなので、こっちからアクションをかけるしかないと思い、私はある作業を始めた。

それは、これまで私が彼に与えられた苦痛、他の女性宅に居る事実、最初はその事を隠していた事実、話し合いの場を設けると約束しておきながら一向にその行動をしない事実、これらを『内容証明郵便』として彼の会社宛に送り、内容に納得いかない部分があれば具体的に説明するように、また、真摯な態度で認めるなら署名をするように、といった文章を作成すると言う事だった。もちろん、自分の非を完全に認める署名などする訳ないと思ったが、これがきっかけで、お互いの主張を整理し、話が進んで行くだろうと期待して作ったものだ。

そうこうしている内に、6月19日(金)、3度目の診察日を迎えた。送る予定の『内容証明郵便』も出来上がっていたので、それを持って、診察に向かった。病院の近くに、たまたま郵便局があるものだから、そこで『内容証明郵便』を出す予定だった。

さて、いつも通り、午後1時頃に受付を行い、長い時間待たされ、ようやく診察が始まった。
果たして、私が主治医に前々回の診察で渡した資料は見つかっているだろうか。何だか、私のIQがそこそこ高い事を確認したせいか、主治医はその資料を読んでみたそうにしていたので、今回は読んで貰っているかもしれない。まあ、あの病院の程度では、無くなっている可能性も高いので、大して希望は持てないが。
そんな事を考えながら、主治医に「資料はどうなりましたか。」と訊ねると、「まだ見つかっていないんだよね。読みたいんだけど。」といって辺りの書類をゴソゴソしていると、紐でくくられた、その資料が出てきた。主治医は「あった。こんな風にされていたのか。これじゃ分かんないよ。」等と愚痴をこぼしながらも、「読んでおくよ。」とこれまでに無い積極的な答えをくれた。
その後、私は、「どうも『デパス』を飲んでも、何か前ほど効かないんですよね。倍の1mgに増量してもらっても問題ないですか?まあ、日に2回ぐらいしか飲んでないんですけど。」と言うと、主治医は、「この部類の薬は慣れがあるからね。それにしても慣れやすいな。まあ、でも『デパス』の量は上げておくよ。」と言う事になった。
また、「最近は、夜の薬を飲んでも眠れなくなりました。これにも慣れがあるんですか?」と私が訊ねると、主治医はあっさり、「あるよ。そもそも精神安定剤と眠剤は、殆んど成分が似たようなものだからね。」と答えた。私は付け加えて、「夜12時くらいには薬を飲んでるんですけど、明け方の4時〜5時までは、何かやりながら起きているんですよね。」と付け加えると、「それって、ただ単に疲れて眠っているだけじゃないかな。薬のせいでは無く。」と主治医は答えた。
成程、言われてみればその通り。私は、最近、疲労を感じて寝床に就く。昔は、薬による眠気で寝ざるを得なかったが、今はその感覚が殆んど無い。とうとう、睡眠薬系の薬は効かなくなってしまった様だ。
ただ主治医は言う。
「坑鬱剤だけはちゃんと飲んで下さいね。他の薬は、気分次第で全然かまわない類のものだから。」
私も小耳に挟んだ事があるし、入院中薬を抜いた時もそうだったのかもしれない。
この坑鬱剤『パキシル』は、突然止めると禁断症状のような物が出るらしかった。
ここは、主治医の言葉に従う事に、何の異論も無かった。

この日の診察で、とうとう薬が増えてしまった。『中毒』というのも気になるが、これ以上強い薬を飲んでいる私の友人に比べれば、まだマシな方。それに、そんな友人がちゃんと社会復帰しているのだから、あまり心配する事も無いだろう。

そんな感じでポジティブに考え、いつも通り診察を終え、受付での精算、薬局で薬を貰うと、私は用意していた『内容証明郵便』を出すべく、近くの郵便局へと向かった。


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